独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)のソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC)が発行している書籍で、ESxRシリーズというものがある。
ESxRシリーズは、前回書いた分類で言うと”組込み系”に分類される。それぞれの書籍の特徴を示す。
①ESPR(組込みソフトウェア向け開発プロセスガイド):開発の手順(プロセス)を規定するためのガイド。それぞれの組織で開発プロセスを策定する際に、項目に漏れが無いかの確認ができる。ただし、組込み特有の内容も多く、組込み系以外の開発の場合は参考程度にした方が良い。
また、英語版が2012年11月が発行された。オフショア開発などを実施している組織は、詳細まで確認することをお勧めする。
②ESMR(組込みソフトウェア向けプロジェクトマネジメントガイド[計画書編]):プロジェクト(開発)の計画書を作成するためのガイド。これもESPRと同様に組込み系特有の内容も多い。
③ESQR(組込みソフトウェア開発向け品質作り込みガイド):品質を定義するための定量的指標の目標設定の方法、またレビューなどの品質改善の内容が記載されている。今後、定量的に品質を把握し、改善を行うことを考えている組織にお勧めである。また、別書籍の”続 定量的品質予測のススメ”とあわせて、確認すると効果がある(ただし、こちらはエンタープライズ系であるが)。ESQRは、あまり組込み特有の内容が少なく、組込み以外の開発者にも参考にできる。
④ESCR(組込みソフトウェア開発向けコーディング作法ガイド):C言語とC++のコーディングのガイドである。それぞれ目的別(保守性、効率性、信頼性、移植性)に分類されており、各組織の実情にあった規約を選択することが可能である。保守性向上などを考えている組織は概要は把握しておいても損は無いと思われる。
前回のブログでも記載したが、全ての書籍は高レベルの実践的な内容ではあるが、開発経験をしたことが無い人にとっては、完全に理解することが困難では無いかという気がする。
改めて、書籍のリンクです。
2013年1月3日 合同会社 コンサランス代表 高安篤史